ミミッキュ

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"未来"

「この先もずっと、こんな風に過ごしたい」
 早朝の公園のベンチに座って、先程偶然遭遇した飛彩に膝枕しながら、ぼそりと呟く。ちなみにハナは足元で身体を丸くして寝ている。
「そうか」
「『どんな風に?』とか聞かねぇんだな」
「なんとなく、俺が考えている事と同じ気がする。だから聞かない」
「……っそ」
 やはりお見通しのようだ。
 恥ずかしさに空を見上げる。
「ビミョーだな」
 相変わらず曇天の空に、鬱々とした声が漏れた。
「予報通りに晴れるといいな」
「だなぁ」
 顔を下げて、再び飛彩の顔を見る。
 穏やか目で俺を見つめながら微笑む端正な顔がそこにあった。
「……んだよ」
「なんでもない」
「……ってか、そろそろ行かなくていいのか?」
「ん……あぁ、そんな時間か」
 自身の腕時計を見つめるとそう言って、ゆっくり起き上がり立ち上がった。
「では、また」
「おう、またな」
 そう言うと身を翻して、颯爽と離れていった。背中と革靴の音がだんだん小さくなっていくのを見守る。
「んみゃあ」
「お、起きたか」
 すると、いつの間にか起きていたハナが足元で『早く行こう』と言いたげに訴えてきた。
「んじゃ、行くか」
 立ち上がって歩き始める。
 軽い足取りで前を歩くハナに笑みが零れた。

6/17/2024, 10:48:42 AM