恋したあるまじろ

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「付き合ってくれないかな?」
満面の星空の下で彼女が最初に発した言葉。
彼女は赤面を隠そうともせずにこちらを真っ直ぐに見つめる。…それはずるいよ。
「先輩、俺もう死ぬんです、寿命らしいですよ」
本音の彼女を前にずっと隠してきた真実を俺も話す。
「答えになっていないよ、私の告白の答えを聞かせてほしいんだ」
相変わらず先輩はかっこいい。俺を助けてくれた時もこうだったっけ。





「あんたなんか生まなきゃよかった!さっさと私の前から消えなさい」
え、母さん、そんなこと言わないでよ。
俺、出来る努力はしたよ?
テストではずっと学年一位の万年満点。運動だって甲子園まであと一歩のところ。何がダメだったの?
「自分が選ばれた人間だと勘違いするからそうなるんだぞ蒼太ぁ」
「親父ぃ、いてぇよぉ!もう殴るなよぉ」

あぁ、不幸だ。神様、俺を殺してください。俺、自分で死ぬのも怖いどうしようもないくずなんです。

ガチャ
「こんにちは、山崎さん」
は?
会長は俺を殴ろうとする手を止め、家の外まで俺を連れ出す。
「君ほど優秀な人間がいつもボロボロな理由がわかったよ。もう大丈夫だ。」

それから会長は、会長だけは、俺に優しくしてくれた。






 そんな会長が優しさではなく愛をくれた。俺がずっとほしかったものをずっと欲しがった人がくれた。…もうこれ以上ない幸せだ。
きっとこの夜空は祝福してくれてんだろうな。
「先輩、先輩まで泣かないでくださいよ」
「それは、無理だな。実った恋がこんなに一瞬で、こんなに悲しい終わり方をするなんて」

あぁ、不幸だ。神様、どうか俺を生かしてください。俺、自分一人じゃ生きられないどうしようもなく弱いんです。あと少しだけ、あと数回だけ彼女とこの星空を見に来る時間を俺にください。


7/6/2024, 9:53:41 AM