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「こないだタクシー乗ってたらさー」
「うん」
「こーこーせーがガッコ終わっていっぱい歩いててさー。なんか懐かしいって思っちゃった」

君がニコニコしながら遠い目をする。あの頃のことを思い出してるんだろう、同じ高校に通ってた俺たち。俺が1年先輩で、君が後輩。
俺だって簡単にあの頃の情景を思い出せるよ。

「俺たちもつるんで良く一緒に帰ってたよな」
「そーだねー…。俺よくひとりでクラスに残ってたなー。一緒に帰ろって誘ってくるくせに放課後になっても全然来ないでさー」
「そうだっけ?」
「グランドでさー、楽しそうにクラスの子たちとサッカーとかしちゃってさー。俺は窓からこっそりさーそれをひとりで眺めてさー」

あれ?これは墓穴を掘ったか?
さっきまでニコニコ遠い目をしてた君は真顔になり、唇はとんがって。
俺は思わずニヤニヤ笑い。

「…なんだよ」
「いや、それで俺が教室行くとさ、まさにその顔してお前俺を待ってたなって。その顔が結構好きだった」
「…過去形?」
「バカ言うな」

今もだよ。



▼放課後

10/12/2023, 3:40:30 PM