アインホルツ帝国の首都ドルトファン。
自然溢れる街の中で、人々は日々の生活を営んでいた。それは夜も変わりなく、柔らかな光がドルトファンを照らしている。
皇帝ロレンツは、妻のロレンスと共に散歩に出ていた。彼女の国を巡る混乱も収まり、二人は晴れて夫婦になれた。
彼女の婚約者の蒔いた火種が、レクステリア王国──現ルリスリアン公国への国難として襲い掛かった。
周辺国に包囲され、国内も不安定な中で彼女は周囲の支持を得て指揮を取った。
そして、名実ともにルリスリアンの指導者となった。
それはさておき、今日はお忍びデートなのだ。買い物と解説を交えながら、ドルトファン城まで歩く。
「ロランス、行こうか。案内するよ」
「えぇ、ロレンツ様」
二人の正体がバレて騒ぎになるまで、あと少し。
「手を繋いで」
12/10/2023, 9:59:07 AM