君が大事に育てていたミニトマトを口の中で潰す度に私は何を思えばいいのかわからなくなる。涙なんてもうとっくに出しきって頭の中もからっぽだ。シーンと静まった部屋にただ自分の咀嚼音だけが聞こえて、今ではそれが当たり前で、そんな現実にまた喉奥が苦しくなる。テーブルの上には色違いのコップが2つ仲良く並べられていた。本当はもう君はいないのに。本当に大好きなの。君のためならなんでも出来ると思った。何でもしたいと思えた。ふわふわの卵焼き、甘くて溶けてしまいそうだ。君が好きな味。本当は今日も君に食べさせてあげたかったから卵を3つ使った。ねえ今あなたはどこでなにをしているの。「早く帰って来ないと卵焼き冷めちゃうのに」そう小さく呟いて私は今日も君を待っている。
3/4/2024, 6:09:48 PM