ネコ野郎

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僕は今日も紙飛行機に文字をつらねる。
いつもこれを拾ってくれる君のために。
『僕はもうそろそろ死にます。』
自分で描いていても何も感じない。
『だからこの手紙が最後になります。』

『君にはいろいろと感謝してるよ。君のおかげで残りわずかな人生を楽しめた。』
『名前も年齢も性別も分からないけど、』
『話したことすらないけど、』
僕は書く手をとめて病院の窓を見つめる。
『今まで支えてくれてありがとう。』
「少し、照れくさいや」
僕はつぶやいた。
『来世で友達になってほしい。』
そう書いてから鉛筆を置く。
丁寧に紙飛行機を折って窓から空へと飛ばした。
「結構飛ぶようになったなぁ」
けどこんなものじゃ足りない。
もっともっと遠くの空へ届くように。

遠くの空へより。

4/12/2023, 12:57:51 PM