鈍い私は
自分の中にいつの間にか
芽吹いている、好きという気持ちに
気付くのがとにかく遅い。
そして、ある日突然に
衝撃的に気付くのだ。
だから、初恋の日は
正直言って分からない。
好きな事に、気づいた日も
忘れてしまったけれど。
ただ、学生の頃のあの人が
初恋だったのかも知れない…
先にバスを降りる彼は
私の頭をいつもポンポンと撫でて
降りた。
冬の公園で、2人で少し長く話した。
私より薄着の彼は、上着をかけてくれたし
誕生日の日には、私の自宅に電話をくれた。
頑張れば、実る恋だったかもしれない。
けれどそれ以上お互いに
歩みよる事はしなかった。
私は、クラスメイトの子に
彼と仲が良いからと頼まれて
その子の代わりに告白の手紙を
渡したのだ。
こんな、漫画みたいな事があるのだなと
視界がぼやけて何かが溢れてしまう前に
恋心にも、そっと幕をおろした。
【お題:初恋の日】
5/8/2023, 4:57:15 AM