福卵

Open App

「ねぇ、見てコレ懐かしい!」

いつものように勝手に部屋に上がり込んで来た君。突然本棚を漁り始めたと思えば、まるで宝物を見つけたかのように目を輝かせ何かを顔の前に突きつけてきた。いや近い、見えんわ。

「幼稚園の頃のアルバムじゃ〜ん…うっわなっつ…!」

埃被った表紙を軽く撫でながら君はやや興奮気味にそう呟く。見てもいい?なんて聞いておきながら既に開いているのを見て思わず苦笑した。アルバムなんて、見てもたいして面白いものはないと思うのに。楽しそうにページを捲り続ける君を横目に見ながらそんな事を考えるが、さっきの君が言った言葉の通り、確かに懐かしいな…とは思う。一緒になって覗き込んでみれば、どの写真にも必ず君の姿が隣に写っていて。2人して「仲良しかよ」って顔見合わせて笑った。ふと、君が「あ」と声を漏らす。どうかした?と尋ねれば、君は穏やかに微笑んでこう言った。

「これからも2人でたくさんの思い出、作っていこうね。」



11/18/2023, 1:13:00 PM