ー 目が覚めると ー
彼女が死んだ。
居眠り運転をしていたトラックに轢かれ 彼女は空の煙となった。
僕は 今でも それが理解できない。
ここは夢で 夢から覚めると 彼女はきっと生きている。
寝すぎ と怒ってくれる。
きっと きっと。
そうで あって 欲しい。のに。
どうしようもなく ここは現実で 目の前の彼女は ただの無機質な墓石でしかないのだ。
夢から覚めても 覚めても 彼女は笑わないし。
日に日に苔が生えてしまう。
何度目かの夏か分からない夏が通り過ぎ。
彼女はまた帰路に着いた頃だろう。
僕は涙で濡れたマクラと セミの鳴き声と 嫌な暑苦しさと共に 彼女がなくなってから 何百回も繰り返した あの 虚しい なんとも 虚しい。
誰もいない。
そんなベッドで ただの1人で 眠りにつく。
また。
眠りにつく。
きっと 目が覚めても。
いくら覚めても。
彼女はいない。
彼女のいない現実と 嫌な暑さが 僕を覆うだろう。
早く 冬になって欲しい。
夏なんて 彼女が居ない虚無感が強くて トラックを見る度に吐き気がしてしまう。
彼女が消えた夏と 彼女を殺したトラックと。
夏なんて死んでしまえ。
彼女の代わりに 死んでしまえ。
7/10/2023, 1:33:11 PM