髪弄り

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帰り道、鬱蒼とした林ばかりの獣道じみた場所。ここを通る度、私は子供の頃を思い出す。

ワクワクと山道を探検し、法律の事など知らず、勝手に作った秘密基地。
私に優しさを教えてくれた母、口うるさい父の姿。

懐かしい想い出は、どうも色褪せて見える。
「今日は、随分と風が強いな」

森全体を揺らすほどの突風に、はためく服。
土くれがぼとぼと落ち、小さな音楽を奏でる。汗水と血が乾き、涼しさを伝える。

ふと、立ち止まり空を見上げた。
快晴、雲一つない夏空だ。

私の心もそうだと思った。
荒れていても、何処までも晴れやか。

重いが、来た道よりも軽やかな足取りで、私はいつもの帰路へとついた。

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ー二週間前から行方不明になっていた。〇〇市に住む女児、ーさんが遺体で発見されました。警察は現在も捜査を続けておりー

テレビを前に泣き腫らす女を前に、
空はとても晴れやかだった。

【物憂げな空】

2/26/2023, 1:44:13 PM