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届かぬ想い

 私はとある貴族の姫君に仕えている侍女だ。名を仮に
アリとここでは名乗ろう。彼女とは遠い親戚同士で本家と分家の関係だ。
 正直、本家に産まれなくてよかったと最初は思っていた。何せカミに祈りを捧げるために18歳になる時にその身を命を捧げなければならない。ようは生贄というやつだ。
 私が12歳、お嬢様が5歳の時に逃げ出さないように捧げられるという場所に連れてこられた。彼女は出れないため最初は泣きじゃくっていた。だが、もう出ることは叶わないとわかったのかだんだんと泣かなくなった。そうして徐々に優しく柔らかく笑っているが時折諦めがついたような表情もするようになった。

 彼女が16歳の時に死神と会ったようでとても嬉しそうに笑っていた。どうやら同い年だったようで楽しそうだった。その頃にはすっかり私はお嬢様のことを妹のように大切な存在になっていた。

 だからこそ悲しくも恨めしかった。あと2年もしないうちに彼女は死んでしまう。その身を代われるというのならばかわって差し上げたかった。最初お会いした時にどうして自分でなくてよかったと思ってしまったのか恨めしく思った。だが、そのことは己の立場では伝えることもできない。せめて逃げて幸せになってくれたらなどと、この届かぬ想いをどうすれば良いものか。

......そう考えながら日々が消えていった。

4/15/2026, 1:42:25 PM