基本的に僕らに未来はない。
この世界は永久に同じような時が流れ続ける。だからそこに希望とか絶望とかそういったものが僕ら自身に生まれることは無い。
もちろん、この世界に来る迷い子たちや、下界に住んでる普通の人間たちには『死』という概念があって、そういう面で言うなれば未来に何があるか知りたいという感情を持つのはごく一般的な感情だろう、と以前の僕は踏んでいた。なぜなら天使だったからだ。
天使というものは基本的に寿命とかそういう概念は存在せず、あるのは永遠。つまり、未来に何が起こるだなんてあまり気にしたところで、そこまで必ず生きられるのだ。
この世界もそんな感じで時間とかの流れとは隔絶されているもんだと思ってた。
でもよく見ると違う。
未来はあっても過去がないらしい。
覚えてない、というよりなんらかによって消されたような。そう、まるで迷い子たちのように。
もしかしたらいつか、彼女は消えてしまうかもしれない。権力者ではなく、住人として戻ってしまって新しい人が『権力者』として来てしまうのかもしれない。
そしたら、そしたら、僕と彼女の未来はどうなるんだろうか。
僕は彼女に想いを伝えられずに終わってしまうのかもしれない。
だったら、未来を変えられるように努力しながらも、少しだけそうなるかどうかの未来を覗いてみたい、なんて思ったりした。
4/19/2024, 10:20:30 AM