ミミッキュ

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"夏"

 少しずつ雨の降る時間が少なくなってきて、一日も降らない日が出てきた。それに伴って、最高気温が高くなってきた。いよいよ夏が近付いている。
「シャンプーすんぞ」
「んみぃ」
 ハナを抱き上げ、シャワー室に連れていく。二週間前にやったはずのシャンプーを、やると言って抱き上げられて可笑しな声を出した。
 やはり猫は賢い生き物だ。シャンプーの頻度を覚えている。
 体毛に覆われたハナの身体の熱を少しでも逃がす為に、シャンプーの頻度を月に一回から二週に一回に増やそうと、先日その旨を獣医に相談すると、そうした方がいいと言われたので、頻度を増やすことに決めた。
 猫は水に濡れるのを嫌がるのだが、性格によっては平気な子もいる。ハナは生後数ヶ月の時からシャンプーをしているので水に慣れているので、大人しくシャンプーをさせてくれる。
 ちなみにブラッシングの頻度も増やそうと提案されたので、週に一回から二日に一回にした。
 シャンプーを終え、シャワー室から脱衣所に連れていき、バスタオルに包む。
「綺麗綺麗になりましたねー」
「みぃ」
「涼しくなりましたかー?」
「みゃあ」
 声をかけながら手を動かしてバスタオルで身体中の水気を拭き取る。
 水でぺったりと張り付いていた体毛が、少しずつふんわりと空気を含んで立ち上がっていく。
 このくらいかとバスタオルを畳み横に避けて、ドライヤーを取り出して弱い温風をハナにあて、更にふわふわに仕上げる。
 この時が一番気持ちいいらしく、温風をあてると喉を鳴らす。
 水気が無くなり、空気を更に含んでいく。
「はいお終い。お疲れさん」
 ドライヤーのスイッチを切り、定位置に置く。
 シャンプーする前と比べて白さが増した気がする。
 ハナを抱き上げて顔を埋め、洗いたてで乾いたばかりのハナの体毛を顔いっぱいに堪能する。柔らかな体毛が顔を撫で、シャンプーのいい匂いが鼻腔をくすぐる。
「はぁ〜……」
 顔を上げると、自然に満足げな声が出た。

6/28/2024, 11:34:25 AM