名も無き小説家

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          『みかん』

寒い日が続く

ぼくはコタツに入りながらテレビをみていた

すると自宅にチャイムが鳴り響いた

コタツから出たくはなかったけど

仕方なく重い腰を上げて玄関へ向かった

ぼくは自宅のドアを開ける

幼馴染が小さい段ボールを抱えて立っていた

「これ、うちの母さんが持っていけって」

その段ボールの中にはぎっしりとミカンが入っていた

「寒いから早く中に入れなさいよ」

そう言いながら彼女は家に入っていった

まだ返事もしていなんだけども…

「コタツ暖かい」

リビングへ戻ると彼女は既にコタツの虜になっていた

「暖かいお茶よろしくね」

そう言いつつ彼女はミカンを剥き始めた

ぼくは一言返事をし、お茶を沸かしはじめた

「おばさんたち、大晦日には帰ってくるのよね」

両親は海外へ出張中で家にはぼく一人でいる

たまにこうして幼馴染がやってくる

「大晦日には帰ってくるって今朝連絡があったよ」
「そう。なら何時も通り私の家で年越しパーティね」

毎年になると幼馴染の家でパーティをしている

両親と彼女の両親が同級生らしい

「はい、お茶どうぞ」
「ん。ありがとう」

ようやくミカンにありつけれる

ぼくはミカンを一つ手にとり剥きはじめた

甘くて美味しい

ふと横に視線を移すと彼女が頭をぼくの肩に乗せてくる

寝息を立てながら気持ちよさそうに寝ている

ぼくは気にせずそのままミカンを食べ続けた


END-名も無き小説家-

12/29/2023, 11:24:41 AM