「大好き!!!」
!がいくつあっても足りやしない
僕の君を想う気持ちは「!」じゃ表せない
最大限の愛情を込めて
君の唇に口づけを
/8/16『!じゃ足りない感情』
「僕はきっと、明日には死んでしまうんだ……」
窓の外を見て嘆く君。
ベッドに横たえた体は細く白く、ぽつりとこぼす声は弱々しい。
その目が映すのは窓の外の壁。隣にあるレンガ造りのビルの壁に挟まった一枚の葉。
そよそよと吹く風に揺られて、今にもどこかに飛んでいってしまいそうだった。
「僕には慰めてくれる人も、絵描きの友達もいない。このまま病気に負けてしまうんだ……」
今にも命の灯火が消えてしまいそうなか細い声音で君は一筋の涙をこぼし、布団に潜り込んだ。
翌朝。目が覚めた君が、いつものように窓の外を見ようとすると、窓には白いカーテンが引かれていた。
緑の葉っぱ型の紙がたくさん貼られたカーテン。
「これは……なんて……」
目をみはった君の瞳が揺れている。
誰がやったのかわからない。看護師たちも不思議そうな顔をしていた。
開かれた窓から風が吹き込み、カーテンの葉がそよそよと揺れる。
「誰がやってくれたんだろう?僕のために?……嬉しい。……なんて美しい景色なんだ」
君は顔をぐしゃぐしゃにして泣いてしまった。
明日にも死ぬと言っていた彼が、細い声でしくしく泣いていた。
だが、その白い顔色からは青みが消え、君の頬にほのかに赤みがさしていた。
『誰か』が君に生きてほしいと思っているんだよ。
/8/15『君が見た景色』
8/16/2025, 8:41:58 AM