白糸馨月

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お題『星座』

 夜空を見あげながら、昔、幼馴染と会話していたことがある。その頃、俺たちはたまたま夜空を見あげながら星座の話をするのにハマっていた。
『俺さ、大人になったら星座になりたい!』
『……星座って増えないんじゃないの?』
『俺が神話を作って伝説になったら新しく星座もできんだろ!』
『たとえば?』
『ほら、アルマゲドンみたいに隕石から地球救ったりとか?』
『あはは、楽しみにしてるよ。でも、その時は生きて帰ってこいよ』
『おう、あたりめーだろ!』
 なんて会話をしていた。

 あれから数十年後、本当に地球に隕石が襲来して、宇宙飛行士になった幼馴染は仲間と一緒にその隕石を破壊しにいった。
 結果、隕石は破壊され、地球に降り注ぐことなく、なにも起きずに済んだ。だが、宇宙船は帰ってこなかった。
 あの後、彼らの功績をたたえて勲章が授与され、新たに星座が制定されることになるという。
 あいつがいなくなって、たしかにあいつの願いは叶ったけど、俺の胸中は複雑だ。だけど、宇宙行く前にあいつから渡された発信機があって、そこにはモールス信号で「今日も無事」と伝えられている。
 それを信じて俺は伝説としてまつりあげられそうになっている友達の帰りを待っている。

10/6/2024, 2:23:49 AM