私は自分の名前が嫌いだった。
お母さんもお父さんもきっと気付いていないんだろうな。
私だって、からかわれるまで気付かなかった。
「え!おまえ、"刹那な身"じゃん!」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
思いのほか響いたその声に、教室が静まり返った。
頭に疑問符を浮かべながら、みんながその子に注目した。
その子もそれを感じたのか、
「だって、お前の名前、世津 七海だろ?ほら!刹那な身じゃん!」
その子はみんなに分かってもらおうと、声を張り上げた。
その子の手には名簿表が握られていた。
膝を打ち
「あー!え!まじじゃん!」
と声を上げながらその子に近づく子と、
興味を失い、
また友達と話し出すグループ内にわかれ、
教室は元の喧騒を取り戻した。
私は、友達と話の続きをしながらも、ずっとその子に言われた言葉が頭を巡っていた。
その日の帰り道も。そして今でも。
名前以上の意味がこの名前に宿っているような気がして、
(テーマ:刹那)
4/28/2024, 11:37:58 AM