NoName

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この世界は残酷だ。
自分さえ良ければいいと思ってる人が多すぎる。
誰かを裏切り、誰かを傷つける。
そんな世界に生まれてきたせいで私は『私』が嫌いだ。
そんな私でも信じられる人はいる。
彼はウサギみたいな小さな口、いつもは白いほっぺなのに時々ピンクになるほっぺ、そして・・・澄んだ青い瞳。
彼はいつも言ってくれる言葉がある。
「君はとても可愛い瞳をしてるね。」
「僕君の瞳大好き。」
そんなこと言われても家族の中、そして学校では私は澄んだ瞳というより、曇っている瞳なのだ。
ある日私はいつも通り学校でいじめられる。
でもいつもと違ったのは
「何してんの」
彼がその現場を見つけてしまったのだ。
「・・・・・いない。」
「え?」
「あなたには関係ない!!!」
せっかく助けてくれようとしてくれたのに、突き放すような言い方をしてしまった。
それから、彼と話すことは無くなった。

あれから5年。高校も卒業し、大学進学もした。
今でもあの時の出来事を後悔している。
でも、もし、また彼と再会することがあれば、
彼が好きだと言ってくれたこの目を・・・澄んだ瞳を彼に、彼のために見せて、今度は私が助けようと思う。

       『澄んだ瞳』  歌花

7/31/2023, 2:30:56 AM