「物語の結末を見るのって、ちょっと怖くない?」
部屋で一緒にタイの連ドラの最新話を観ていたら、唐突にナオがつぶやいた。
「え? どういうこと?」
エンドロールのBGMを聞きながら、ソファーからダイニングテーブルに座るナオに目線を向けた。
「本とかドラマとか、物語には必ず終わりがあるじゃない。私さ、最後まで観るのが怖い時がある」
私はナオに向き直って言った。
「私は……、早く最後まで見たいタイプだなぁ。面白い海外ドラマって見てると止まらなくなる」
自分の感覚をストレートに伝えた。するとナオは
「いつもそうって訳じゃないんだ。その、続きが気になるっていう感覚もわかる」
指に絡めたミルクコーヒーのカップをじっと見つめながら言った。
「じゃあ、どんなときに終わらないでって思うの?」
単純な疑問をナオにぶつけた。ナオは少し考えてから、ゆっくりと言った。
「たぶん感情移入が強いときだと思う。主人公とか登場人物とかが悩んでいたりすると自分と重ねて見ていて」
それは私にもある。主人公が泣いていると、一緒に泣いちゃうことはよくある。
「それでハッピーエンドでも、悲しい結末でも、この人とのつながりが切れてしまうのが寂しいのかもしれない」
「私はね、物語が終わっても、主人公たちの人生は続いてるって思うな。いろんな人生が、ずっと先まで続いていて、それを想像するのも楽しいじゃん」
「そっか、そうすれば、つながっていられるのか」
「たまに好きなドラマの夢見たりするからね」
「それは想像力ありすぎだろー」
私は声を出して笑った。
「それにさ」
「私たちの物語は、これからもずっと続いていくからね。そんなに簡単に、終わったりはしないよ」
やだ、変にクサいセリフになっちゃった。
「なにそれ……でも、ありがとう」
ドラマのエンドロールは一番の盛り上がりを迎えていた。
そう、私たちの冒険は、まだ始まったばかりなのだから……。
って違う違う! これじゃ少年漫画の打ち切りテンプレじゃん!
1/26/2025, 12:22:29 AM