20歳 #30
「Stella.」
これは、絵画展の中の一枚。
この絵画展の中で一際輝いて見えた作品だった。
夕焼けをバックに涙を浮かべた女子高生が描かれていた。
その表情は悲しくて泣いているとも、嬉しくて泣いているともとれる複雑な表情をしていた。
作者の一言には"この作品が最後です。"と書かれていた。
他人事のように書いているけれど、これは紛れもなく私の江角六花の過去。
あれから3年経って今は空っぽの日常を惰性で過ごしている。
気づけば私も20歳の年になってしまった。
17歳の頃まで私は澄江花純(スミエカスミ)として活動していた。
けれど、それは一瞬にして星屑になって消えた。
というか自分から突然活動を辞めた。
有名な作家はこの世を去って名を馳せるというのに感化されて突然姿を消してみたら結構な影響が出てStella.は貴重な作品となった。
世の中には澄江花純の名義しか出ていないから澄江花純の存在を認知できるのは私と私の家族だけ。
私の過去は星屑になったけれど20歳の年になってみて気づく。
趣味で続けていてもよかったのではないかと。
1/11/2024, 1:20:04 AM