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「やっと、見つけた。」

ずっと夢に出てくる人がいた。
何故か分からないけれど2パターンある夢で、もう何回も見るから内容も覚えてしまった。
1つは、好きな人にパートナーが出来て想いを伝えられないまま踏切に飛び込んだ夢
そしてもう1つは、好きな人と付き合えたけどその人には私以外のパートナーがいて耐えきれなくて踏切に飛び込んだ夢
両方とも同じ人に恋をしていた。
夢の中の私はどうしようもなくその人のことが好きで、好きで好きで大好きで
それ以外の感情がなくて、
ふと微笑んでくれた顔が忘れられなくて何処かで会えることを期待していた。

「またね〜!帰りの飛行機で!」
高2、修学旅行。鹿が沢山いる島でどこか背中に寒いものが走る島。霊が宿っている神聖な場所と噂されているからなのだろうか。もうここには来たくないとおもった。
女子校に進学した私は、伝統の一環で修学旅行のホームステイに来ていた。本当は海外とかに行けるんだけど、人気が高くて選考漏れしてしまった。にしても、どうせ日本ならもっと海が綺麗な場所が良かった
ステイ先は優しそうなご夫婦のお家だった。外れて最悪な修学旅行になったという人もいたので心配していたが、本当によかった
「息子が一人いるけど、部活の合宿中だから最後の日にほんの少し、会えるだけかもしれない」
男の人との話し方も分からないし、何より同年代の子なんて気まづいにも程があるからよかった。
「お世話になりました!」
3日間終えたが、会うことは無かった。最後1目くらい会いたかったな〜と思って玄関を開けると、視界に飛び込んできたのは夢によく出てくる彼だった。
集合場所の近くまで荷物をもってくれた彼と連絡先を交換してしまった。終始心臓はバクバクだった。
5分の時間が1秒に感じた。

それからメッセージでのやり取りが始まって、電話も毎日して、楽しくて幸せな日々が始まった。
夢の中の私は苦しい思いをすることが多かったから心配になったけれど、大丈夫そうだった。
向こうも男子校に通っていて出会いがないらしいし、付き合ってる人も居ないといった。
いつの間にか向こうも自分のことを好きになってくれて、付き合いませんかと言われた時は嬉しすぎて踏切に飛び込みたくなった。死ぬなら幸せな時がいいけど勿論そんなことは出来なかった。

「今度用があってそっちに行くんだけど、会える?」
「会える!会いたい!」
修学旅行以来半年振り、受験校の見学に来る予定があったみたいでこっちに来てくれた。その学校は偏差値かなり高めだったけれど、私の行きたい学部もあったから一緒に見学に行った。
見学帰りにカフェに行ったり、水族館に行ったり普通のカップルと同じ時間を過ごした。いつもならあまり気にしない時間があっという間に過ぎていって、いつの間にか空港にいてお別れの時間になってしまっていた。
ドラマとかでよく見る、2人ともボロボロ泣いてとか絶対ないよな〜フィクションでしょとか思ってたけどノンフィクションだった。ボロボロ泣いた。苦しくて、一緒もっといれないのが嫌だった。でも、あともう少しでもしかしたら近距離になれるかもしれない。周りの近距離カップルが羨ましくてしょうがないけど自分もいつかああ慣れると信じて受験勉強に勤しんだ。
彼は一緒に見学した大学を受験するらしい
だから私も必死だった

「別れよう。好きな女の子ができた。」
最近連絡の頻度減ったなときになっていた。気にしすぎはメンタルに来るので気にしないようにしていたけれどきになって怖かった。
電話がかかってきたと思ったら第一声がこれ
真っ暗になった
自分が何を言ったのか分からないけど、何も言えなかったのかもしれないけどとにかく頭の中の自分が泣き叫んでいた
失恋で人は死ぬなんて信じていなかったけど予想以上の苦しみだった。本当に苦しくて死んだ方がマシだと思った。睡眠もご飯も取れなくなって、受験まであと3ヶ月だったのに勉強も無理になった。国語の参考書開くだけで涙が止まらなくなった。
それでも何とか生きながらえていたある日、SNSを更新すると女の子とツーショットを上げるアカウントがあった。優しく微笑んでくれる顔はかわってない、微笑む対象はかわってしまったけれど
息が出来なくなるかと思うくらい、これまでの比にならないくらいの苦しみだった。

気がつくと、踏切の前にいた。
頭の中に踏切の音が鳴り響く。
音には合わないけれど右左と規則正しく移ろう赤色が目に入る。
空を見上げると、綺麗な藍色をしていた。
夢の中と同じだ。
幸せを願えなくてごめんね
幸せになんかなりませんように、ただそれだけを願った
けたたましく鳴り響く警笛の音と共に私の記憶はここで終わった。

誰よりも彼のことが好きだった自信があった。
やっと、伝えられて今度こそ幸せになれると思ったのに
遠距離は近距離に勝てなかった。
恋の素晴らしさを知った。でもそれを上回る絶望も知った。
こんなことなら、彼に出逢わなければ良かった。そう思いたいのにどうしても思えなかった。

来世は、もうこんなこと思わないで済むように人間以外の生き物に生まれ変われますように。










完璧フィクションなんだけどな…
き、既視感で満ち溢れている怖い…

6/2/2023, 10:54:55 PM