自分の気持ちすら理解できないのに。
他人の気持ちを理解することなど、できるはずもありません。
配慮、気遣い、思い遣り。
これらが必要不可欠であることは、重々、承知しています。
しかし、私は、自己本位でしか動けないのです。
五つ年上の旦那様がお仕事なさっている間、私は、お洗濯やらお掃除やらをしなくてはなりません。お料理の勉強もです。
だというのに、私は、何をするというわけでもなく、ただただ気力が湧かないという理由だけで、日がな一日、茶の間に寝そべっているのです。
そして、旦那様がご帰宅なさると、旦那様は呆れた表情をお浮かべになって、それに堪えかねた私は、旦那様が汗水流してお稼ぎになったお金を持って、隣町の居酒屋へ逃げ込み、私が悪いというのに、旦那様のことを悪く言ってしまうのです。
この悪癖は、私が死ぬまで、治ることはありません。
治したいという強靭な意志があれば良かったのですけれども、お生憎様、軟弱者の私は、そのような大逸れた信念など、持ち合わせていないのです。
旦那様、どうか、こんな私を、早く見棄ててください。
そうすれば、旦那様も、私も、いまよりはまともな生活を送ることができるでしょう。
3/27/2024, 11:30:08 PM