好き嫌い
好き嫌いはよくないと教えられる。
だから何も思わずに笑っていることにした。
少し苦い青菜、通り道のアスファルトのひび割れ隆起したところ、休日朝の草刈機の大きな音、心に引っかかったまま蓋をした友達のことば。
すべてを笑って許せるようになった頃、いろんなことがどうでもよくなった。
休みの日、ベッドの上、天井に視線を投げっぱなしにしたまま…スマホが鳴った。通知が表示される。「暇でしょ? 部室来てよ。課題写すから持ってきて」
は?
むくむくと密かに育ってきたなにかが、心の蓋を突き破った。枕を引っ掴んで叫んで投げた。
「知るか自分でやれ!!! お前となんか仲良くねぇよ!!! どうでもいいわ!!!」
勢いで着替えて、はじめてひとりでカラオケに行って回転寿司に行ってレイトショーで映画を観て、帰ってきた。
「どうでもよかったんだな…」
課題写させるのは癪でしかないし、あの子のことは嫌い。部活やめよ。
よく寝て目覚めた日、付き合いで入ってた部活はやめた。ぞんざいに扱ったらあの子は案外あっさり離れてった、その一点だけは好き。お互いどうでもよくなれてよかった。それぞれ別の場所で生きられる。
6/13/2023, 3:46:24 AM