大人たちから「君はまだ若いんだから、なんでも出来る」などと言われていた頃の、胸の内に抱えていたモヤモヤした何か、上手く『言葉にできない』と思い込んでいたあれらには、先人たちによって、そのほとんどに名前が付けられていた。
不安、焦燥、失望、嫉妬、憎悪、絶望──それらのどれもが、自分が抱えていたものをそれなりに正しく、または不完全に現していて、でも。
「……そうじゃない。間違ってはいないけれど、完璧でもない。何かが違っていて、足りてないっ!」
……というような。
どこか、もどかしい感覚もあった。
ああ、でも……そうか。
いまになって、ようやくわかった。
その感覚の、つまるところ──。
それは恐らく「孤独」というものだったのだ。
あのモヤモヤは単に、「本当に自分は、自分でしかないのだ…」という、孤独由来の寂しさを持て余していた、ただそれだけのことだったのかもしれない。
……そして。
そんなことにも、気づけるようになった……はずの、いま。
人に「まだ全然若いんだから、なんでも出来るじゃない、いいわねー」などという感想を抱いたり、押し付けたりする年齢になった私は、胸の内のモヤモヤしたものなどは、普段の生活で無意識下とか、どこかその辺の適当な場所に、収納出来るようになっていて。
けど、それをすっかり、忘れてしまっていたのだ。
「……あれぇ? このモヤモヤした感じ、『言葉にできない』この感覚は、なんという気持ち……あーそっかそっか。しまったまま、忘れきってたわー」
かつて抱えていたものと、同じ名前のそれは、私と同じだけの歳月を重ねたせいなのか、尖った角のところが、削れている──。
うん、そうね。
前よりもだいぶ、持ち易くなってる……みたい?
……まぁね、この先もどうせ、捨てられないし?
この際、専用の巾着袋でも、縫ってやろうかしらねぇ?
4/12/2026, 4:28:08 AM