『ブランコ』
ぎい、と音を立てた。私とあなた、ブランコに2人。
どうぞ、と手渡されたのは、缶ビール。
「悩み聞くよ」
それは、あなたに好きな人がいると知ったとき。うっかりしてしまって、失恋したと言ってしまった。そうしたら、あなたは当たり前のように私を連れ出してくれた。だから私は、あなたが好きだ。いや──好きだった。
「わたしね、わたしね、ずっと好きだったんだよ」
そうだね、と微笑む声。知らないくせに。もう駄目なのに、まだあなたに縋り付くしかない哀れな私を、嘲笑くらいしてくれたらいいのに。
不意にあなたは、ブランコを漕ぎ始めた。
「俺もね、本当は失恋した」
首を傾げると、
「好きな人に、そんな好きな人がいるの、知らなかった」
2/2/2026, 1:24:35 AM