花の香りとともに。
最近、花の香りというものを嗅いでいないような気がする。もうすぐ春がやってくるというのに……。このままでは春はやって来ないかもしれない。
天候予想をみるに、数日後には降雪の予報らしい。えっ、雪が降るのかよ、と僕は仰天。先日降った雪が名残り雪だと決めつけていたのだ。
そういうわけで、近所を散歩してみることにした。
仕事中、ここには居ない。ここにはコンビニがあったな、ここには駐車場があったな。などと、脳内の地図を更新する作業。家に地図はあるが、スマホで充分と力不足。散策気分の能天気。天気はどんどん春のアスレチック。
こんな所に店なんてあったけ?
ふーん、よく知らんな。と、新店舗の匂いは落ち着かない。
適当に歩くと、さくら通りとかなんだか言って、まだ枯れ木の山の賑わいという出で立ちの、桜並木の下のバミリを目撃した。
地面に直接貼るテープである。陣取り合戦の奴である。ここは出店不可、ここはOK。そんな感じに自治体が自治厨をやっている。
出店不可の理由を探すと玄関先だったり、駐車場の出入口だったりする。それでここにテントを張れないというわけだ。
結局花の匂いは嗅げず仕舞いだが、その予感はするな。冬ならもう暮れているのに明るげだ。日暮れの時刻はずれ込んだな、と、まだある昼空を見通す。
そこにあるのは蒼の匂い。
3/17/2025, 9:55:52 AM