あなたは人の死に触れたことがあるだろうか。
私が初めて〝死”を目の当たりにしたのは、6歳。
小学校に上がったばかりの時だった。
紅葉舞い散る秋季。祖母の死期が近いという知らせを受け、母と共に田舎の実家に行った。大人が何か深刻そうな顔で話している間、私は祖母が横たわっている部屋にこっそり入った。
祖母はまるで、枯葉のようだった。夏に遊びに来た時は、あんなに元気そうだったのに。人間、こんな短期間でここまで弱々しくなれるのかと思うと、変な気分になった。
人の命は、木のようだと思う。初めは若葉から、やがて幹は太くなり、葉をつけ、花を咲かせる。そしてひっそりと散っていく。
どんなに美しい花を咲かせても散る時はどの木も同じ容貌になるのと等しく、人間もどんなに栄光ある生を送っても、死ぬ時は人間として儚く散るのだ。
これを人の尊さというべきなのか、はたまた愚かさというべきなのか。その結論に至るのはきっと、私が枯葉になる時だろう。
2/19/2023, 12:54:17 PM