哀愁を誘う
秋の青空は澄んでいて、寝そべってそれを視界いっぱいに埋めつくしてしまえば、まるで空に落ちているよう、だなんて。
屋上でひとり、腕も足も投げ出して大胆に寝転がる。そうして初めて、青空は彼を飲み込んだ。別に、何を期待したわけではない。ただ彼の言葉を思い出して、だから実際にやってみた。それだけだ。少し冷たい風が頬を撫でる。ほんの1週間ほど前までは残暑だなんだと騒いでいたのに、今やアウター無しで外に出るのは些かリスキーとまで来た。なんて気まぐれな天気だろう。この心地よい空気だって、恐らく片手で数えられる程しか訪れないのだろう。そのうち、それを教授で着るのはどれくらいあるだろう。もしかしたらこれが最後かも、なんて思って、なぜだか寂しくなって目を閉じた。
11/4/2024, 4:50:35 PM