白井墓守

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『この世界は』

この世界はゴミカスである。
とっくの昔に腐り果てたヘドロに成り果てたのだ。

ゾンビの一日は、ドロドロに熔けた体をかき集めることから始まる。
溶き卵みたいになっている自身の身体……だと思うものを、まるで粘土でプリンの山を作るように一生懸命に形作る。
そしてようやく自分の身体となって、目が見えて口が聞けるようになる。

「あー、あああー??」
「ようやくお目覚めかよ、ウケる」

声のした方を見る。
真っ青な顔色に、傷一つない美しい滑らかな肌。
ビリビリに破れた中二病が憧れる黒いコート。
猫のような目付きの青年が、そこにいた。

「仕方ないだろ、お前みたいな強化ゾンビとは違うんだ」
「眠るたびにドロドロになるとか、弱ゾンビ達は大変ですなぁ(笑)」

からかうような態度とは裏腹に、こちらに手をさしのべてくれる辺りが性根の良さを浮き彫りにする。
有りがたくその手を取って、腰を浮かせて立ち上がる。
ちなみに、独りで立ち上がろうとすると、半分の確率でつるっとすべってもう一回からだの形成からやり直しだ。

「ほんと。俺が幼馴染みだった事にありがたく思えー?」
「はいはい。めちゃくちゃ感謝してるよ、まじで」

僕たちは、幼馴染みだ。
そして、ゾンビだ。

……世界は腐り果て、人類はみなゾンビになった。
世界大戦がおき、核兵器に次いで科学兵器が使われた末路がコレだった。
人類は傲慢な態度の対価を支払ったのだ。

「……なぁ、アレ……なんだ?」
「ん?」

……女の子だ。しかし、おかしい。ありえない。

ゾンビには特有の青白い肌がある。
しかし、その女の子は真っ白い肌をしていた。
そう、人間の肌、なのだ。

「あれ……ここは、どこなのかしら?」

目が合う。
おそらく、ここが僕たちの運命の分岐点だった。
この出会いは、世界の運命を変えるきっかけとなる。

これは、特異点の女の子と、ゾンビとなった世界で、ゾンビを人間に戻すために世界と立ち向かうお話。


……続かない。

おわり

1/16/2026, 1:06:58 AM