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「moonlight」

 月の光は好きだ。静かで、きれいで、嬉しい夜も落ち込んだ夜も全ての夜に優しく寄り添ってくれる。
 でも、今日は違った。
 「ごめん、俺たち別れよう」
 月明かりの下、彼は私に終わりを告げた。あまりの衝撃に、どう返したのかは記憶になく、遠くなる彼の背中だけが鮮明に脳裏に焼き付いていた。
 一人茫然と立ち尽くす夜の路地裏。ふと空を見上げると月だけがポツンと浮かび、星たちは姿を隠している。
 まるでスポットライトのように私だけを照らす月の光は、ただただ無機質で優しさを感じることはできなかった。
 

10/5/2025, 1:49:58 PM