糸井

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「ねぇ、次は何処に行きたい?」

端正な顔を崩しても尚美しい彼は、輝かしい笑みで私に聞いてくる。金色のさらりとした髪も相まって本当に眩しくて、見慣れている筈なのに一瞬固まってしまう。そんな私の様子も更に愛おしそうに見つめられている気がしたので、咳払いをして一拍置いてから

「…貴方と一緒なら何処だって楽しい。そんな旅の記憶は宝石のように輝いていて、全ての場所が魅力的に見えてしまうの。だからね、私、何処までも行きたいな」

と言って彼を見つめてみると、今度は笑みを隠しきれないようなほんのり赤みがかかった顔をしていて。それは私だけが見れる特別な貴方のようで、たまらなく愛しい。

「それじゃあ、僕に何処までも何時までも着いてきてくれるかい?」

という言葉と共に彼の差し伸ばされた手を取って、もちろん、と返事をすれば私達はまた次の目的地へと翔けていく。まだ見ぬ景色を二人で見る為に。

宇宙の果てでも二人一緒ならきっと全てが華々しく心に焼き付いて満たされて行くから。

『まだ見ぬ景色』

1/13/2025, 12:42:48 PM