スープ

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転んでしまったからだろうか。膝に抱えた麦わら帽子はつばに解れているところがあって自分のすり傷よりももっと可哀想に見えた。私は泣き出した。誰もいない畦道だった。誰も助けには来なかった。やっぱり照りつける太陽だけが涙を乾かした。しっぽの生えた麦わら帽子を被り直してもう太陽の励ましなんていらないから、と言うように右足から走り始めた。誰もいない畦道だった。入道雲が青く見えた。私は走った。

8/11/2023, 3:58:09 PM