それは、埃をかぶっていた。
あの頃、日記や思いつきをメモしていたノートが見つかった。
私は泣きそうになった。
あの頃の、まだ無邪気に夢や幻想を語り合っていた頃の記憶。
あの頃の、友人とテストの点や部活の大会の結果、カードゲームで競い合った記憶。
あの頃の、親や先生に怒られたり褒められたりした記憶。
そんな様々な記憶が、氾濫したように押し寄せてくる。
だが、開きたいとは思わない。
ここで、埃をかぶって永遠に封印しといたほうがいいのではなかろうか?
そっちの方が、今のモノクロのような刺激もない生活、ただただ単位のための勉強や、将来役立つかわからないようなバイト………
そんなモノクロの今を、あの頃の毎日キラキラしていたあの時と比べるような気がするのだ。
だが、好奇心には抗えなかった。
そのノートの、表紙をめくった。
そこには、こう書いてあった。
「卍漆黒を封印せし魔導書卍」
そっと、表紙を閉じた。
2度とこのノートは開かないと決意しながら。
1/19/2024, 1:29:35 AM