つきみ

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『何でもないフリ』

「俺…颯真のことが好きなんだよね」
それは突然だった。私の幼なじみの一人である拓也と2人で家に帰っている時の事。
彼、拓也は私のもう1人の幼なじみである颯真の事が好きだと言ったのだ。

生まれてからこの時までの17年間、幼なじみであるこの3人で沢山の事を経験してきた。そして私は多くの時間を共に過ごす中で拓也を好きになった。
【嗚呼..こんなにも簡単に全てが変わってしまうんだ】
拓也のいきなりの告白に私は戸惑いを隠せなかった。私が拓也に惚れている事は、拓也本人も知らない。

拓也は本気で颯真のことが好きだ。
【全部..全部分かってた。だって拓也は、私が拓也に向ける顔で、、同じ表情で颯真を見ていたから】

私の目の前では少し照れくさそうに、それでも真剣な表情で本当の自分を私に向けてくれている拓也がいる。
【泣いたらダメ……泣いたら、、】
次々に込み上げてくる感情を押し殺していると、拓也は不安気な声で「変なこと言っちまったよな急にごめん」と言った。

彼のその一言で、私は慌てて口を開いた。
「違うよ、少し驚いただけだよ?そっか、拓也は颯真の事が好きなんだね。」

「うん。俺は颯真の事が好きだ。」
私は拓也のその一言を聞き、一度自身の震えを抑えるために軽く息を吐いた。

「大丈夫か?」

「……」
「うん。大丈夫だよ!」
そして私は好きな人の為に『何でもないフリ』をする。

12/11/2024, 2:34:11 PM