仮色

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【心と心】

私の友達には、とんでもなく察しが良い子がいる。
ちょっとでも体調が悪かったら気付かれるし、隠し事なんて以ての外。
悲しいことがあったら直ぐに察して励ましてくれるし、放っておいて欲しい時も見分けて接してくれる。
短い人生の内ながらも、こんなに人の良い友達はいないと私は断言できる。

でも、そんな友達にも少しだけ気に入らないことがある。

「どした、なにかあった?」
「まーた溜め込んでる顔してる、私に言ってみな?」
「あ、なんか隠し事してるでしょ。そろそろバレるって分かりなよ〜」

常に人のことを見て、困っていそうだったら真っ先に声を掛ける癖して、

「あ…うん、大丈夫だよ。こっちの問題だから、そんなに心配しないで?」

そっちが辛そうなとき、心に入り込むのを全力で拒否してくる。
何を言ってもぎこちない笑顔で「大丈夫」って、あなたほど察しの良くない私でも大丈夫じゃないって分かるのに。
助けられるのが怖い、って顔してる。
いつも誰かを助けているのに、なんて自分勝手なんだろう。
私にもあなたを助けさせてよ。
私はあなたを親友だと思ってるし、あなたも私を親友だと思ってると信じてる。
多分、これは自惚れなんかじゃない。

「大丈夫って言うな、大丈夫じゃないでしょ」

先に、こっちの心に優しく踏み込んできたのは貴方なんだから、

「いつものお返しさせてよ。」

ぽかんとした顔で私を見つめる目には、薄く涙が張っていた。

12/13/2023, 9:59:20 AM