こういうアプローチもいいかと思って、とあなたが差し出してきたフラワーアレンジメントは薄オレンジと褐色がいかにも私好みのモダンな色合わせで、けど、それ以上に驚いたのはふんわり漂ってくる甘い香りだった。
「これって紅茶の香り!それにチョコレートも」
「驚いてくれた?アレンジのテーマはティータイム」
チョコの香りはコスモス、紅茶はこっちのバラ…と順に教えてくれる。ドームシェイプのデザインは、花達の甘やかな香りと相まって、まるでガナッシュケーキみたいに美味しそうな姿をしている。
鼻を寄せて一つひとつ匂いを確かめていると、ウサギみたいな表情だと笑われた。
「花を食べるほど食いしん坊じゃありません!」
「…そうじゃなくって。かわいいなって、見てた」
…ああ、こういうアプローチって、そういう意味で?
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「紅茶の香り」
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所感:
紅茶自体ではなく、その香りをもつ何か…と考え中にふと思い出したのがチョコレートコスモスでした。香りは人や場所の記憶を鮮明に連れて来るから不思議です。
10/28/2022, 11:09:23 AM