仮名K

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教室の隅っこで目立たないように体を丸める。周りを見れば、他の生徒たちが雑談し楽しそうに笑いあっている。彼らの周りがキラキラとしているような気がする。彼らは、大陸だなをゆらゆら優雅に泳ぐ魚たちで私は深海魚。どうあっても、彼らとは交わることはない。深海魚は水底でじっとしているのがお似合いだ。じめじめと過ごしていると、換気のために開けた窓から突風が吹き込んできた。ぐしゃぐしゃにされた髪をなおしていると、ふわりと桃色が落ちてきた。桜の花びらだ。とっくに散ったものだと思っていたが、まだ咲いていたのが風に乗ってやってきたか。花びらをつまみ、じっと見つめる。深海だなんだと言ったが、私と他の生徒たちは桜の花びらが飛んでくる同じ教室にいる。もしかすると、一人くらいは話が合う人がいるかもしれない。話しかけて見ようか。勇気を振りしぼり、私は自分の席から立ち上がった。

4/17/2024, 12:03:08 PM