SF
200字
さよならの燈
「夜景を見に行こう」
そう誘われて住宅区画の向こうの、高台になっている広場に向かう。
転落防止の柵から下を見下ろせば、住人が移転し、少なくなった家の灯りがぽつりぽつりと広がっていた。
このコロニーはもうすぐ老朽化により、廃棄され、太陽に投棄される。
頭上……反対面にも虫食いのように広がる闇。
いつもは街の灯りに埋もれて見えない内壁の裏を走るインフララインの灯りが『さようなら』を告げるように静かに瞬いていた。
お題「夜景」
9/18/2023, 11:13:33 AM