背伸びしたネコ

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優しさ


優しい人が好かれると知った13歳の頃

私は優しい人になりたいと思った 


出来る限り人に優しく接した

困っている人がいれば助けた

どんな人でも沢山いいところを見つけて褒めた

相手が優しさで満たされて幸せになってほしいと

心から思うようになった

「君は優しいね」

そう言われるようになった

友達も彼氏も出来た

そうやってずっと優しさを忘れないように

生きていれば幸せになれると思っていた私の隣には

今、誰もいない



友人は私を都合のいい時だけ呼ぶようになった

彼氏は私の親友と浮気していた

男友達は酔って私を襲った

旅行に一緒に行った友人に貸した数万円は返ってこない





どうしてだろう

私の優しさは偽物だったのだろうか

優しさには程度があるのだろうか

そもそも優しさなんて誰にもあげなくてよかったのか

もう私にはわからない

過干渉したつもりもない

ただ、応援したり励ましたり、自分がしてほしいことを

していただけだった

喜んで欲しかった

大好きな人たちを幸せにしたかった


「君といると幸せだよ」

そう言ってくれた人たちは

私から全てを奪って置いて行ってしまった


「久しぶりに相談に乗ってほしいなあ」

そんなことを言われても

私はもうしばらく

ボロボロになった自分に注ぐためのジョウロしか

持つことができない




1/27/2023, 11:30:41 AM