刹那、話してみようと思ったのだ。
僕の頭の中に、それを話した後の未来がフラッシュのように瞬いた。驚いたきみの表情。その唇は震えるに違いない。目は見開かれ、声は上ずり、もう一度聞き返すかもしれない。
「本当だよ」
僕は想像した未来のきみにそう話しかける。
「本気できみを殺そうとしていた。そういう仕事をしていたからね。いつも通り依頼を受けて。まあ簡単だと思ったよ。あまりに無防備すぎる。いつでもその手をひねってくるりときみをダンスさせることだってできた。その後首にナイフを突き立てることもね」
——「どうしたの? 黙っちゃって」
その声に、僕の想像はふわりと紅茶の香りに溶ける。
今目の前にいるきみはきょとんとして僕を見ている。そのあまりに無防備な瞳で。
「何でもないよ」
いつも通り口角を上げて、カップの紅茶を飲み干す。
もう少し黙っていよう。きみのせいで僕の人生プランが狂ってしまったことは。
【お題:刹那】
4/28/2026, 2:27:06 PM