Saco

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ずっとこのまま

白い天井 無機質なリノリウムの床
白いベッドに白い布団 病院と言う建物
特有の独特の匂い

清廉潔白なシーツな上で眠り続けている


医者の話しでは、ずっとこのままの
可能性もあると言う話しだ....
分かっている そんなの....

でも僕は、諦められなくて....

だって心電図の音は、規則的に動いている
手を握れば体温だって感じられる。

だから 呼吸器を外す決断が出来なくて....


僕は、君が眠るベッドの上に突っ伏す。

「諦めが悪いって よく君に
怒られたっけ....」

僕は、綺麗な顔で眠る 君の耳元に囁く
そうしてまた 昨日と同じ
大粒の涙を 何回も何回も流す。
僕の大きな泣き声で君が
『うるさい~』と言って怒りながら
起き出すのを待つ様に

僕は、諦め悪く 君の手を握って
また 今日も涙が枯れるまで
泣き続けた。

君がもし側で見ていたら呆れる程の
大声で.....

男としては、情けないかもしれない...
こんな僕の 君は一体どこが良かったんだろう。....

ねえ そんな話しも君の口から
聞いてみたいから...

だから 僕は、まだ君の呼吸器を
外さない 外せない

ずっとこのままなんて 僕には、
とても思えないから....

ねえ 君は、いつも寝付くのは
早いのに
起きるのは、遅かったね...

君が まだ目覚めないのだから...
よっぽど良い夢を見てるんだね...

早く聞かせて
君の夢の話しを聞けるのが すごく すごく 待ち遠しいんだ...

だから 僕はいつまでだって待ってるよ
瞳から涙の最後の 一雫を零し

眠る君の額にキスをして
僕は、眠り姫の病室を後にした....。

1/13/2024, 6:14:24 AM