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“Ring…Ring…”

彼がそんなに純粋で、女絡みが全くなくって、誠実なんて、そんな人なわけないじゃないか。彼も人だ。私はずっと期待しすぎていた、ただ、好きと言われただけで。

好きなら、きっと全てにおいて私だけだろうし、何を持ってでも優先してくれるのは私だけだと思っていた。高校生だろうとこれは誠実なものであって、遊びではないと

いや、遊びだと言われたわけではないが、他の子と仲睦まじく会話している声を聞いて思った。「私よりも楽しそうじゃないか」と。これは汚い嫉妬だ。なぜなら、私からは絶対に好きと伝えないくせに、彼にはずっと好きでいて欲しくて、私が呼んだ時にはすぐ来てほしくて、約束は絶対に破らない人でいて欲しいという、腐った欲望であるからだ。「信じる」ことには時間を要する癖に、「見損なう」ことには一瞬で信じるからだ。「好きだ」という言葉は信じられない癖に、「好きじゃない」という可能性はすぐに信じるからだ。

私は欲望に塗れた汚い人間だ。彼もそうかも知れない。ふと思えば、彼のことなんて何も知らない。名前と、生年月日と、性別くらい。保険証に書いてあるようなことしか知らない。彼が他の女と話していることを思い書き殴っている今、心なんて晴れるわけがない。

ただ、彼が少しでも私を「好き」と思ってくれたことを信じて、少しだけ「待ってみる」というのもまた、重要かも知れない。

何を信じていいかわからない、彼の全てを信じていいとは思えないし、私だって私自身を信じることは難しい。

そんな私にふと“Ring…Ring…”と通知が入る
「明日、お昼一緒に食べれる?」彼からの通知だった。
先ほどの虚な心など忘れ、私はまた陽気に「図書館前で待ってるね」と送る。

1/9/2025, 7:14:30 AM