しじま

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寒空の下、辺りを見回しながら独りトボトボと歩く。

上着のポケットには煮干しとチュル。

心許ないソレをポケットの中で握りしめて、車の下や植込みの中、塀の中を覗き込む。

不審者通報されても構わない、既に警察には届け出を出しているから。

ダンゴになって暖をとっていた一団に聞いてみたりもするが、知らぬ存ぜぬと目を細めるばかり。

何処へ行ってしまったのか。

立ち竦み途方に暮れる私の足の間を何かがすり抜けた。

聞き慣れた君の声。

ピンと立てた尾をクネクネさせながら君が足元で鳴いた。


テーマ「君に会いたくて」

1/20/2024, 4:34:15 AM