初心者太郎

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私は貧乏揺りをしながら待っていた。時計は午後六時を回った頃。送ったメッセージは未読のまま。

私には小学生になったばかりの息子がいる。かなり早いかもしれないが、スマホを持たせている。最近は事件も多いし、周りに持っている子も多いから仕方なく買ったのだ。

その息子が、友達と遊んでくると言ってから帰ってこない。

「あー、もう!」

私は怖いので、取り敢えず家の近くの公園を見に行くことにした。

「あっ」

公園の隅に寝転んでいる息子を見つけた。近くに駆け寄ると、隣にカゴに入った犬が一緒にいた。

「ちょっと、ユウキ起きなさい!」

私は息子を叩き起こす。

「……ママ。おはよう」
「おはようじゃないわよ!何してんのよこんなところで!」
「友達と遊んで帰る途中でさ、ワンワン見つけてさ、可愛いから寝ちゃった」

私は、安心するのと同時にやっぱり可愛いと思ってしまって、怒らなきゃいけないのに頬が緩んでしまう。

「もう帰るよ、ユウキ」
「ママ、待って。ワンワンは?」

家は裕福じゃない。だから犬を飼う余裕なんてないが、流石に放って置けなかった。

「……しょうがないわ。飼い主を見つけるまで、家で預かるしかないわね」
「やったー!」

絶対反省していないなと思いながら、連れて帰った。

お題:既読がつかないメッセージ

9/20/2025, 1:19:50 PM