「木枯らし」
コガラシは
厳しく
冷たく
存在を否定し
枯らそうと、消し去ろうと、
つまりは殺そうとする意志を持つ
狂気を含む風。
しかし本来は
木を枯らそうとするものではなく
春の訪れを正常に感じさせるため
厳しさを木々に体験させている。
そうして木枯らし自身は
忌み嫌われ、眉をひそめられ
「来なければいいのに」と言われ
祝福も感謝も労いも享受することなく
春の訪れの前に
山の彼方へ独り消えてゆく。
その後ろ姿を誰にも看取られることなく。
「木枯らし」
1/18/2024, 2:23:28 AM