勿忘草
もし僕が、花を取りに行って、川に流されてしまったとしても、僕を待つ人に「忘れないで」とは言わないだろう。
そもそも泳げないし、きっと話せない。
これから居なくなろうとしているのに、待つ人に辛い約束をさせるなんてできない。
花と一緒に流れに身を任せて、ただ静かに沈んでいく。
本当に居なくなる人は、自分の意志を貫くために「これから居なくなります」なんて、言わないんだよ。
何回も何回も、やっとの想いで伝えた言葉に返ってくる、否定や寄り添いのない言葉に傷付けられているから。
伝えることを諦めて、その顔は寂しそうにでも穏やかに笑ってる。
ねぇ、だからさ。僕のことなんか忘れて?
2/2/2023, 11:23:05 PM