夏の忘れ物を探しに行く。
そんな馬鹿げたことを言い出したお前が、何を思っていたのか、その時は分からなかった。だから何も言えなかった。
それでもお前は俺の手を無理矢理引いて、まだ照っている太陽より明るく笑った。
俺とお前はずっと一緒だったもんな。相棒でライバルで、友達。そして、俺の好きな奴。今は、恋人。
お前の、俺たちの忘れ物。
丁度こんな暑い夏に付き合った、俺たちの忘れ物。
何気ない駄菓子屋、何気ない商店街、何気ない日常。
他の人にとってはそうかもしれない。
それでも、俺たちには全てが新鮮だったあの場所に、まだ体験していない忘れ物を探しに行こう。
俺たちの、記念日を。
9/1/2025, 10:46:21 AM