ペンギンの搾り汁

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『恋』と『愛』は違うと言うが、『愛』と『食べたい』は同じだと思う。

愛がゼロだとして、『食べたい』はその延長線上……遥か彼方にある感情だ。
そこは、最果て。
つまり、最上級の愛とは『食べたい』なのである。

「やめっ、やめっ!」
小さな身体が、俺のことを必死に拒絶する。
頬に押し当てられたその手を、パクリとしゃぶってみた。

しょっぱい。

涙を拭った後の手は、しょっぱかった。

彼女は、俺を拒絶しているが、俺は彼女を『愛』している。
『愛』や『恋』と言う物は必ずしも相思相愛である必要はない。
一方通行であっても、『愛』や『恋』は成立するのだ。

だから、俺は今……この子を沢山愛している。
何よりも尊い、最上級の愛で。

「あ"あ"っ!!」
悲鳴が上がる。悲鳴?いや、雄叫びだろうか。
どちらにせよ、悲痛に顔を歪ませた彼女は……実に苦しげである。
あぁ、愛しい人。

その指を噛みちぎった時、綺麗に歯形が残った。
断面は歪ながら、確かに俺の歯並びを模している。

彼女の一部が、俺の中に今。はいった。

これでやっと、俺は彼女を愛せたんだ。

1/29/2026, 1:18:17 PM