青白い月は色のせいか形のせいかヒヤリとした冷たさと鋭さがあった。まるで彼の故郷の雪みたいな色。三日月を背負って立つ彼は私の知らない顔をしているのだと思う。月の魔力が彼の青い瞳をより魅力的に引き出していたら私はその場から凍り付いたように動けない。きっと彼はそんなことないと笑うだろうけど。
私が好きな月は黄色ではなくオレンジ色。満月を過ぎた後の色は、暗い夜空にうっかり夕日が昇って来たみたいで私の目にはとても面白く映る。
今昇っている月がまさにそれなのだ。暗い空に煌々と輝く夕日は冷えた夜をほんの少しだけ暖めてくれる、寂しさを感じた時は特に。
窓から、そんな『月夜』を眺めて想像することが好き。
繋がった空の先にいる彼も、同じ月を見上げているのだと思えば、うっかりな月にも助けられて寂しさも少しは和らいだ。
3/7/2023, 10:26:59 PM