ね。

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「はい、これ。」
と、その子が差し出したのは、小さな花をいくつか輪ゴムでくくったものだった。


「おたんじょうび、なんでしょ。ばあばからきいたの。」
にっこり笑ったその子はバイバイ!と手を振って行ってしまった。
どこかで見たことのある、人懐っこい笑顔だった。



ボクは、あっけにとられ、しばらくその可愛らしい花束を見つめていた。


うーん。
今日誕生日だということ、誰かに話したっけ?…と、頭をめぐらしていたら、馴染みのお弁当屋さんでのさっき会話を思い出した。



いつもカレー弁当のボクが、珍しくカツカレーにしたもんだから、仲良しのお店のおばちゃんに、
「なんかいいことあったの?」
って聞かれてさ、

ボクが、
「誕生日だから奮発しました!」
って言ったら、

おばちゃん、にっこりして、
「そりゃあ、おめでたいねー!」
って、コロッケを2個もオマケしてくれたんだよ。
ああ、あのおばちゃんの孫かあ。
笑った顔、ソックリだったなあ。



嬉しいなあ。
なんていい日だ。
あの子にお礼、いいそびれちゃったな。



「ありがとう。」
と、お弁当屋さんがある方に向かってボクは呟いた。
さ、まだお弁当あったかいな。
うちに戻って食べよう。

2/10/2026, 5:50:32 AM